インプラントとは
インプラントとは歯肉の内側にある顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を固定する治療方法です。
失ってしまった歯と同等の咀嚼(そしゃく)力と外観を、簡単な手術により取り戻すことができます。
インプラントとは
従来の治療法が抱える問題を一掃する治療法――それこそが「インプラント治療」です。
インプラント治療とは、人工の歯根を顎の骨に埋め込み、生来の歯と同様の感覚で使用できる被せ物を作る治療法です。歯根に使用されるチタンは生体との親和性が極めて高く、アレルギー反応を起こす心配がありません。チタンの人工歯根は1~6ヶ月で骨と直接結合し、10年での生存率は95%以上です。
(これは従来のブリッジ、入れ歯治療の生存率を大きく上回ります。)
インプラント治療によって補完された義歯は、生来の歯と同じ様に食物を噛むことができます。
一般に食事の際など、人間の奥歯には50~100kg以上の力がかかると言われています。これだけの力に耐えるためには、やはりしっかりと「人工歯根」が存在する必要があるのです。
また、見た目に関してもまったく生来の歯と変わりがありません。冠として被せる歯の色は、周囲の歯に合わせて選ぶことができますので、他の人に気付かれることがありません。
インプラントの歴史
インプラントの歴史は古く、古代インカ帝国やローマ帝国の遺跡の中からも
宝石や貝殻が顎骨の中に埋まっているものが発見されています。ただそれは、
決して成功したものではなかったと言われています。
現代のインプラント治療の最も偉大な業績は、1952年にスウェーデンの
ブローネマルク博士が、骨とチタンが結合するということを発見したことに
あります。その後、博士は10年以上の動物実験を行い、1965年に初めて人間に
適応しました。その患者さんは、90歳になってもそのインプラントを問題なく
使用していたようです。
10年前くらいまでは、インプラントの生存率が学会などでの話題になって
いましたが、今では基本的なインプラント治療の成功は当たり前のこととなり、
現在はいかに早く、美しく、痛くなく行うかに話題がシフトしています。
このことは、インプラント治療が未知の治療ではなくなり、科学的な治療に
なった証拠ともいえます。
インプラントの原理
現在のインプラントはネジ型をしています。しかし、 インプラントは骨に、ネジのようにねじ込んでいる だけではありません。実際には、インプラントの 主成分であるチタンと骨のカルシウムが結合する ことによって化学的に結合しているのです。もちろん、 骨と結合したインプラントは逆回転させても抜けて きません。チタンはその生体親和性の高さから、 人工関節、ペースメーカーなど様々な医療用金属として 使われています。インプラントにはその小さなボディーに、 最先端技術の粋が生かされているのです。
インプラントの成功率
インプラントの10年生存率は約94~96%と言われています。
上顎が下顎よりも2~3%程度劣ると言われています。
ブリッジ治療は10年で60~80%の生存率とする研究結果もあります。
入れ歯は10年持つことは稀です。
もちろん、骨の質、量、全身疾患、喫煙、歯ぎしり、
食いしばりなどの危険因子が大きいとその喪失のリスクは
高くなります。喫煙者は非喫煙者の2.5倍喪失しやすいとする
研究結果もあります。
従来の治療法(入れ歯、ブリッジ)の欠点
ご自分の歯を失ってしまった方は、かつては入れ歯や ブリッジといった方法でしかその欠損を治療することは できませんでした。しかしながらこれらの治療法は、 それまでの自分の歯と同じ様に食物を噛むことが できなかったり、手入れが大変であったり、見た目に 影響が出てしまったり…といった問題があります。 さらに一番の欠点として、他の歯を削ったり、金具を 引っ掛けたりと、他の歯に頼る治療法なため、 歯を早期に失う原因となってしまいます。 口の中全体だとマイナスな治療になってしまうことも あります。
インプラント治療の利点
お口の中を家に喩えると、奥歯は柱で、前歯は屋根なのです。 柱(奥歯)が無いと屋根(前歯)は崩れ落ちてしまいます。 インプラントの最大の利点は、この柱をまた建てることにより、 丈夫な柱を増やすことができることです。従来の治療は、必ず 他の歯や粘膜に負担をかけ、無いよりは噛めるようになりますが、 お口の中全体で考えるとマイナスになっていることもありました。 インプラントの最大の役割は、お口の中の柱を増やし、他の歯を 守り、お口の中の崩壊を未然に防ぐことなのです。
インプラント治療は、高価な治療法だと思われるかもしれませんが、 自由診療の入れ歯やブリッジと比べると似たような治療費であり、 入れ歯やブリッジを何度も作り換えなければならないことを考えると、 1番お得な治療法なのです。
インプラントの欠点
(インプラントが喪失する原因)
- 1度結合したインプラントの周りの骨が、喪失する原因は、 細菌感染による炎症と噛む力によるものです。ですから、 1度骨と結合したインプラントは、細菌と噛む力のストレスが 少なければ、10年以上持つものなのです。しかし、大量の 細菌感染、喫煙、全身疾患、歯ぎしり、食いしばり等の ストレスが大きければそれだけインプラント喪失の危険性は 高くなります。
(インプラントと骨の結合)
- インプラントは骨に直接結合するため、天然の歯にあるような 歯根膜という衝撃吸収機構がありません。ですから、衝撃が直接骨に 伝わってしまいます。噛む力からインプラントを守るには、天然の 歯のように衝撃吸収機構があったほうが有利なのです。近年、この 歯根膜を再生医療で再生させてインプラントにつけようという試みが ありますが、まだ難しいようです。
(インプラントと粘膜の結合)
- 近年、インプラントと粘膜にも接着機構があると発見されましたが、 天然の歯と粘膜の接着の力には及びません。この接着が弱いと細菌を 進入させてしまうリスクが高くなるといわれています。ただし、体の 免疫力はそんなに弱いものではないので、適度な細菌の量にコントロール されていれば、問題ありません。
インプラントと従来の治療の比較
インプラントの最大の欠点はその費用です。ただし、 自由診療のブリッジや入れ歯と比較すると、その長期 安定性、噛み応え、見た目、他の歯の負担を考慮すると 一番安いのかもしれません。
インプラント治療に関するご相談・ご質問を随時受け付けております。皆様からのご相談・ご質問はインプラント歯科医がお答えしますので、お気軽にお問い合わせください。