骨が無くてもインプラント
骨が無くてもインプラント
「上の顎にはインプラントが出来ないと言われた。」といって当院に受診される方がいますが、最新のテクニックを用いれば、十分インプラント治療は可能になります。
上顎におけるインプラント治療においては、主に4つの治療法に分けられます。骨移植を必要とする方法として、ラテラルウィンドウテクニック、オステオトームテクニック、骨移植を必要としない方法として、傾斜埋入、ショートインプラントがあります。
骨移植を必要とする方法
上顎洞底挙上術(サイナスリフト)
上顎の骨には上顎洞という空洞があります。上顎の歯を失ってしまうと上顎洞は拡大し、結果骨が薄くなってしまうことがあります。上顎洞底挙上術(サイナスリフト)は拡大してしまった上顎洞に人工骨を移植することで、骨の厚みを確保する治療です。
サイナスリフトには大きく分けると、骨の横からアプローチするラテラルウィンドウテクニックと骨の下からアプローチするオステオトームテクニックがあります。
ラテラルウィンドウテクニック(Latelal Window technique)
ラテラルウィンドウテクニックを用いれば、1~2mmしか骨が残っていない状態でも、適切な長さのインプラントを埋入することができます。
↓ラテラルウィンドウテクニックを用いて骨を増やした状態。
一番下のラインが歯槽頂の骨。真ん中のラインがもともとの上顎洞底。
一番上のラインが増えた挙上されて骨。
オステオトームテクニック(Osteotome technique)
オステオトームテクニックは、上顎洞底挙上術の中の1つの方法です。5mm程度の骨が残っている場合に、オステオトームという器具を用いて、骨を増やしながらインプラントを同時埋入するテクニックです。ラテラルウィンドウテクニックよりも、治療期間や手術のストレスを減らすことができます。
↓上の白いラインまでオステオトームによって骨が増えています。
骨移植を必要としない方法
傾斜埋入(angled/angulated implant)
傾斜埋入とは、インプラントを真っ直ぐ埋入できる骨の量が不足している時に、歯科用マイクロCTにより骨がある部分を正確に把握し、斜めにインプラントを埋入する手術方法です。もともとあった骨に埋入するので、初期の安定性も良く、治療のストレスや待ち時間の短くて済みます。最近の論文においても、傾斜埋入の有効性が示されています。
↓上顎洞の前壁を避けるように傾斜埋入されたインプラント。
↓上顎洞を避けるように傾斜埋入されたインプラント。
↓下歯槽神経を避けるように埋入されたインプラント(All-on-4)。
↓上顎洞を避けるように埋入されたインプラント(All-on-4)。
ショートインプラント(short implant)
10mm未満の長さのインプラントをショートインプラントといいます。以前は13mm以上の長さが必要だとされていましたが、最近の技術の進歩により10mm未満の短いインプラントにおいても、治療成績は良いという報告が示されています。上顎洞までの骨が少ない場合や下歯槽神経までの距離が少ない場合にとても有効です。
昨年ノーベルバイオケア社から、ショーティーというインプラントが発売され、このインプラントを用いれば5mmの骨があればインプラントを埋入できます。骨が少なくてインプラントができないと言われた方に朗報です。
右がショーティーです。長さ7mmです。
費用
サイナス1カ所 : ¥200,000
リスク
インプラント治療に関するご相談・ご質問を随時受け付けております。皆様からのご相談・ご質問はインプラント歯科医がお答えしますので、お気軽にお問い合わせください。